Around the world, around the world
Around the world, around the world
Around the world, around the world
Around the world, around the world
Around the world, around the world
Around the world, around the world
Around the world, around the world
Around the world, around the world
子どもの頃、自分のまわりでレインボーマンの替え歌がとても流行った時期がある。不思議なのは、自分も含めて誰もレインボーマンを見たことがない、というところなんだけど、おそらくテレビか何かで替え歌のほうだけを聞いて覚えたんだと思う。「インドの山奥で♪しゅーぎょーしてー♪」が本当の歌詞だと知るのはもっと後のことで、それがレインボーマンの歌だと知るのもある程度年月を経たあとだった。当時はただ、でんでん虫の歌として楽しく歌っていた。
インドの山奥でんでん虫かたつむり♪んごは真っ赤っかーさんおこりんぼ♪ーくは泣いちゃったーからプラモデル♪ンルン気分でテーレビ局からコマーシャル♪
全国津々浦々さまざまなバージョンがあるらしいこの替え歌、島根県のとある地方ではこれがスタンダードだった。今見るとさほど語呂が良いとも思えないし、突飛な言葉も使われてないし、一体どこに流行る要素があったんだろう、と思わなくもない。「ルンルン気分」に多少言葉の力を感じるのは、単に古臭さが一周回って味になっているだけだろう。当時は何も感じなかった。
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自分も友だちも暇さえあればこの歌を歌った。飽きるまで歌ったころ、友だちの誰かがこの替え歌を改良しよう、と言い出した。この歌は面白いけど、ちょっと短い。すぐ歌い終わってしまう。もっと長くしよう。
この友だちを天才だと思うのは、長く歌を続けたいなら後ろにどんどん言葉を付け足せばいい、ではなく、どこかで最初に戻って延々とループさせればいい、と思い付いたところだ。
そうしてぼくらは、最後に「い」がつく言葉をどこかに付け足して、インドの山奥に戻る歌詞をたくさん作ったんだと思う。どうすれば長くなるか、どうすれば面白くなるかを、自分たちなりに試行錯誤したんだと思う。
途中経過はまったく覚えていない。とにかく、我々が最終的に辿り着いた完成形は、ひたすら「うんこの大魔王」を連呼する、というものだった。インドの山奥はどこにいった。
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うんこのだいまおう!んこのだいまおう!んこのだいまおう!んこの……
歌ですらない。でも面白かった、子どものやることなんて、面白ければなんでもよかった。
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あれから数十年が経ち、みんな大人になった。自分も大人になり、仕事に行き、夜は布団の中でスマホを眺めながら寝るようになった。
ダフトパンクのAround the Worldという曲が好きで、YouTubeでよく再生している。曲も好きだけど、映像がとても良い。リズムに合わせてつい体が動いてしまう現象を映像作品にしてみました、みたいな感じ。
うんこの大魔王を、この曲を聞くたびに思い出す。